国宝・犬山城の歴史と見どころ|木曽川を望む現存天守・城下町・アクセスまで

お城

愛知県犬山市にそびえる犬山城は、木曽川のほとりに築かれた国宝の城です。天守は江戸時代以前から残る「現存12天守」のひとつで、松本城・彦根城・姫路城・松江城とともに国宝に指定されています。

犬山城の魅力は、天守そのものの古さや美しさだけではありません。木曽川を背にした小高い城山に立ち、尾張と美濃を見渡す立地、戦国時代に織田氏・豊臣氏・徳川氏が関わった歴史、そして城下町とあわせて歩ける親しみやすさも大きな見どころです。

この記事では、犬山城の歴史と見どころを、公式資料にもとづいてわかりやすく紹介します。国宝天守の特徴、戦国時代から江戸時代にかけての城主の変遷、木曽川を望む眺め、アクセスや入場料まで、訪れる前に知っておきたい情報をまとめました。

犬山城はどんなお城?

木曽川を背にした「後堅固」の城

犬山城は、愛知県犬山市の城山に築かれた平山城です。城の北側には木曽川が流れ、その向こうには現在の岐阜県側の景色が広がります。背後を川と断崖に守られた地形を活かしており、公式サイトでも「後堅固(うしろけんご)の城」と紹介されています。

犬山は、古くから木曽川の水運や街道の要所として栄えた土地です。尾張から美濃へ向かう重要な場所にあり、戦国時代には政治・軍事・経済の拠点として大きな意味を持っていました。天守から木曽川を見下ろすと、なぜこの場所に城が築かれたのかが実感できます。

国宝天守を持つ現存12天守のひとつ

犬山城天守は、江戸時代以前に建てられた天守が現在まで残る「現存12天守」のひとつです。そのうち国宝に指定されている天守は、犬山城のほか、松本城、彦根城、姫路城、松江城の5城のみです。

犬山城天守は、三重四階、地下二階付の構造を持つ望楼型の天守です。外から見ると三層に見えますが、内部は四階建てで、石垣の内側に地下部分があります。最上階には高欄と廻縁がめぐり、木曽川や犬山城下町、濃尾平野を見渡すことができます。外に出て一周できるこの廻縁は、国宝に指定された5つの天守の中で犬山城だけに見られる特徴とされています。

現在は公益財団法人犬山城白帝文庫が所有し、犬山市が管理しながら、歴史ある天守を守り続けています。国宝に指定された経緯については、後ほど歴史の章でくわしく紹介します。

犬山城の歴史

織田信康による築城

犬山城は、天文6年(1537年)ごろ、織田信長の叔父にあたる織田信康によって築かれたと伝えられています。もとは木之下城を移して築いたとされ、木曽川沿いの小高い山に城を構えたことが、犬山城の大きな特徴です。

当時の尾張国では、織田氏が勢力を広げていく時期にあたります。犬山城は、尾張と美濃の境に近い重要な場所にあり、木曽川を利用した交易や交通の拠点でもありました。そのため、単なる地域の城ではなく、戦国時代の勢力争いの中で重要な役割を担う城となっていきます。

信長・秀吉・家康の時代をくぐり抜ける

犬山城は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代に、たびたび歴史の表舞台に登場します。織田信康の子・織田信清は、のちに信長と対立し、犬山城は信長方によって攻められました。その後、池田恒興など信長ゆかりの武将が城に関わっていきます。

天正12年(1584年)の小牧・長久手の戦いでは、犬山城は羽柴秀吉方の拠点となりました。木曽川を越えて犬山城を押さえた秀吉方と、小牧山城に陣を構えた徳川家康方が対峙し、犬山周辺は戦の緊張に包まれました。

関ヶ原の戦いの後には、徳川方の小笠原吉次が入城します。犬山城は、戦国から江戸へと時代が移る中で、重要な場所であり続けました。

成瀬家の城として受け継がれる

江戸時代に入ると、元和3年(1617年)に成瀬正成が、江戸幕府2代将軍・徳川秀忠から犬山城を拝領します。成瀬氏は尾張藩の付家老(つけがろう)として犬山城を治め、以後、幕末まで代々の犬山城主を務めました。

現在見られる天守の姿には、成瀬氏の時代の改修が関わっているとされています。望楼部分や唐破風など、犬山城天守の印象を形づくる要素は、時代を重ねながら整えられていきました。

江戸時代の犬山城は、尾張藩の支配体制の中で重要な役割を持ちました。大規模な城郭としての建物は現在ほとんど残っていませんが、天守、石垣、空堀、城山の地形から、かつての城の姿を想像することができます。

濃尾地震と修復、国宝指定へ

明治時代に入ると、廃藩置県によって犬山城は愛知県の所有となり、天守以外の多くの建物が取り壊されました。さらに明治24年(1891年)の濃尾地震では、天守が大きな被害を受けています。

その後、修理を条件として旧城主の成瀬家へ譲られ、成瀬家と犬山の人々の尽力によって天守は修復されました。犬山城は、平成16年(2004年)に財団法人犬山城白帝文庫の所有となるまで、全国で唯一の個人所有の城だったことでも知られています。

昭和10年(1935年)には国宝に指定され、文化財保護法の制定にともない、昭和27年(1952年)にあらためて国宝に指定されました。戦国の歴史、江戸時代の城郭、明治以降の保存の歩みを重ねてきたことも、犬山城の大きな魅力です。

犬山城の見どころ

国宝天守を登る

犬山城観覧の中心となるのが、城山の上に立つ国宝天守です。天守は木造で、内部には昔ながらの急な階段が残ります。現代の建物のような歩きやすさはありませんが、その分、古い城の空気を間近に感じることができます。

天守は三重四階、地下二階付の構造です。入口は石垣内の地下部分にあり、太い梁や石垣の内側を見ながら上階へ進みます。一階には武者走りがめぐり、上段の間などの部屋も設けられています。二階、三階へ進むと、武具の間や破風の内側など、外観だけではわからない構造を見ることができます。

最上階は、外側に高欄と廻縁がめぐる望楼になっています。木曽川、犬山城下町、濃尾平野を見渡す眺めは、犬山城ならではの体験です。足元には注意が必要ですが、天守の上から見る景色は、戦国時代にこの地が重要だった理由を静かに伝えてくれます。

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望楼型天守の美しい姿

犬山城天守は、古い形式を残す望楼型の天守です。下層の建物の上に物見のための望楼を載せたような姿で、実戦的な城から近世城郭へと移り変わる時代の雰囲気を伝えています。

外観では、入母屋破風や唐破風、最上階の高欄が印象的です。大きく華やかな天守ではありませんが、木曽川沿いの山上に立つ姿には、簡潔で引き締まった美しさがあります。石垣越しに見上げる天守、城下町側から見た天守、木曽川対岸から眺める天守と、見る角度によって印象が変わるのも魅力です。

木曽川のほとりの丘に立つその姿から、犬山城は「白帝城(はくていじょう)」とも呼ばれます。江戸時代の儒学者・荻生徂徠が、中国・長江のほとりの白帝城をうたった李白の詩になぞらえて讃えたことに由来すると伝えられ、城を所有する犬山城白帝文庫の名も、この別名にちなんでいます。

木曽川を望む絶景

犬山城を訪れたら、ぜひ注目したいのが木曽川の眺めです。天守最上階から北側を見ると、眼下に木曽川が流れ、その向こうには岐阜県側の景色が広がります。川と山、城下町が一体となった風景は、犬山城を象徴する眺めです。

木曽川は、古くから交通や物流の大切なルートでした。犬山城がこの場所に築かれた背景には、川を見張り、尾張と美濃を結ぶ交通を押さえる役割がありました。天守からの眺望は単なる景色の美しさだけでなく、城の役割を理解する手がかりにもなります。

石垣と空堀に残る城郭の面影

犬山城では、天守以外の建物の多くは明治時代に失われました。しかし、城山には石垣や空堀が残り、かつての城郭構造を感じることができます。公式サイトでは、木曽川南岸の標高約80メートルの城山に築かれ、本丸、杉の丸、樅の丸、桐の丸、松の丸が南側へ階段状に連なっていたと紹介されています。

現在の観光では天守に目が向きがちですが、坂道や曲がった道筋、石垣の積まれた場所に注目すると、城としての守りの工夫が見えてきます。天守だけを見て帰るのではなく、城山全体をゆっくり歩くことで、犬山城の立地と構造の面白さがより深まります。

三光稲荷神社と針綱神社

犬山城の登城口近くには、三光稲荷神社や針綱神社があります。城へ向かう途中に立ち寄りやすく、犬山城観光とあわせて訪れる人も多い場所です。

三光稲荷神社は、赤い鳥居やハート形の絵馬で知られ、写真を撮るスポットとしても人気があります。針綱神社は、犬山祭とも関わりの深い神社です。犬山城を訪れる際には、城だけでなく、周辺の神社や城下町とあわせて歩くと、犬山の歴史や町の雰囲気をより楽しめます。

犬山城下町を歩く

犬山城下町の古い町並み

犬山城の南側には、古い町並みの雰囲気を残す犬山城下町が広がっています。本町通りを中心に、飲食店や土産物店、町家風の建物が並び、食べ歩きや買い物を楽しみながら散策できます。

犬山城は、天守だけを目的に訪れても十分に魅力がありますが、城下町とあわせて歩くことで旅の満足感が増します。名鉄犬山駅から城下町を通って犬山城へ向かうルートは、初めて訪れる方にもわかりやすく、犬山らしい雰囲気を感じやすい道のりです。

有楽苑と国宝茶室「如庵」

犬山城周辺で、歴史や文化に触れたい方には、日本庭園有楽苑もおすすめです。有楽苑には、国宝茶室「如庵」があります。如庵は織田信長の弟で茶人として知られる織田有楽斎ゆかりの茶室で、犬山城とあわせて訪れることで、武家文化と茶の湯の世界を一度に味わうことができます。

犬山城から歩いて行ける距離にあるため、時間に余裕があれば旅程に組み込むとよいでしょう。城、城下町、庭園、茶室が近い範囲にまとまっているのも、犬山観光の魅力です。

アクセスと利用案内

犬山城へのアクセス

公共交通機関で訪れる場合は、名鉄「犬山遊園」駅から徒歩約15分、名鉄「犬山」駅西口から徒歩約20分です。犬山駅から向かう場合は、城下町を通って歩くルートにすると、食べ歩きや町並み散策も楽しめます。

名古屋方面からは、名鉄名古屋駅から犬山駅まで名鉄犬山線で約25分が目安です。名古屋から日帰りで訪れやすく、犬山城、城下町、有楽苑、明治村などを組み合わせた観光もしやすい場所です。

車で訪れる場合は、犬山城周辺の市営駐車場や周辺コインパーキングを利用します。桜の時期や紅葉の時期、犬山祭、大型連休などは混雑することがあるため、公共交通機関の利用も検討しやすい観光地です。

開城時間・入場料

犬山城の営業時間は午前9時から午後5時までで、最終入場は午後4時30分です。休城日は12月29日から12月31日までです。混雑状況によっては入場を制限する場合があるため、休日や観光シーズンに訪れる際は、時間に余裕を持って出かけると安心です。

入場登閣料は、一般1,000円、小中学生200円、幼児は無料です。団体料金は人数によって設定されています。料金や営業時間は変更される場合があるため、訪問前に国宝犬山城公式サイトで最新情報を確認しておくと安心です。

見学時間と歩きやすい服装

犬山城の天守を中心に見学するだけなら、所要時間は1時間ほどが目安です。城下町散策、三光稲荷神社、有楽苑などもあわせて楽しむ場合は、2時間30分から半日ほど見ておくとゆとりがあります。

犬山城は小高い城山にあり、天守までは坂道や石段があります。天守内部の階段も急なため、歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。最上階の廻縁に出る場合は、高所が苦手な方や小さなお子さま連れの方は、足元に十分注意しましょう。

旅の記念に——「文字のお城のしおり」犬山城

文字のお城のしおり「犬山城」

犬山城を訪ねた感動を、旅のあとも手元に残したい方には、「文字のお城のしおり」犬山城もおすすめです。「お城がフォントごと飛び出した!?」というコンセプトのとおり、犬山城の天守をかたどったしおりです。本のページに挟むたび、木曽川を見下ろした最上階の眺めや、城下町を歩いた時間が、そっとよみがえります。

読書のしるしとして毎日使えるのはもちろん、旅の思い出の品として、また城好きな方への贈り物としても喜ばれる一枚です。訪れた記念に、大切な人へのおみやげに、犬山城をかたちにして持ち帰ってみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q. 犬山城の見学にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 天守を中心に見学するだけなら1時間ほどが目安です。城下町散策、三光稲荷神社、有楽苑などもあわせて楽しむ場合は、2時間30分から半日ほど見ておくと安心です。天守までは坂道と石段があり、内部の階段も急なため、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。

Q. 犬山城が国宝に指定されている理由は何ですか?
A. 犬山城天守は、江戸時代以前から残る現存天守のひとつで、古い望楼型天守の特徴をよく伝えています。三重四階、地下二階付の構造を持ち、木曽川を背にした城山に立つ姿は、戦国時代から近世へ移る城郭の姿を今に伝える貴重な建造物です。昭和27年(1952年)に国宝に指定されています。

Q. 犬山城はなぜ「白帝城」と呼ばれるのですか?
A. 犬山城は「白帝城(はくていじょう)」とも呼ばれます。江戸時代の儒学者・荻生徂徠が、木曽川沿いの丘に立つ犬山城の姿を、中国・長江のほとりの白帝城をうたった李白の詩になぞらえて讃えたことに由来すると伝えられています。城を所有する公益財団法人犬山城白帝文庫の名も、この別名にちなんでいます。

まとめ

犬山城は、木曽川を背にした城山に築かれた、尾張と美濃の境を見守る名城です。天文6年(1537年)ごろ、織田信長の叔父・織田信康によって築かれたとされ、その後、信長、秀吉、家康の時代をくぐり抜けながら、戦国史の重要な舞台となりました。

国宝天守は、三重四階、地下二階付の望楼型天守で、急な階段や木造の内部、最上階からの眺めに、古い城ならではの魅力が残されています。天守から木曽川を見下ろすと、犬山城が交通・交易・軍事の要所に築かれたことがよくわかります。

犬山城は、城下町や三光稲荷神社、有楽苑などとあわせて歩けるのも魅力です。国宝天守の歴史を感じながら、木曽川の風景と城下町のにぎわいを楽しめる犬山城。名古屋方面からの日帰り旅にもおすすめの、見どころ豊かな城です。

旅の記念に「文字のお城のしおり」を見る

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