岡山市の中心部を流れる旭川のほとりに、黒い天守が建っています。岡山城です。その漆黒の姿から「烏城(うじょう)」とも呼ばれ、対岸の岡山後楽園とあわせて岡山観光の定番になっています。この記事では、岡山城の歴史や見どころ、開館時間や入場料、岡山駅からのアクセス、車椅子での見学、周辺の観光スポットまでまとめて紹介します。はじめて訪れる方が、行く前の下調べに使えるようにまとめました。
岡山城の歴史と概要
岡山城の起源と宇喜多氏
現在の岡山城につながる歴史で欠かせないのが、戦国大名の宇喜多氏です。もともとこの一帯には、岡山・石山・天神山という三つの丘があり、宇喜多直家は石山にあった城を本拠としました。その後、子の秀家が岡山の丘に本丸を移し、本格的な城づくりを進めたと伝えられています。城の名も、この「岡山」の丘に由来します。地名が、やがて市名・県名へと受け継がれていきました。
宇喜多秀家による築城と城下町の整備
天守が完成したのは、宇喜多秀家の時代、慶長2年(1597)とされています。秀家は豊臣秀吉のもとで重きをなし、のちに五大老の一人にも数えられた大名です。天守は織田信長の安土城天守を模して築かれたとも伝えられ、黒い下見板張りの外観に金箔瓦をあしらった、当時としても豪壮な姿だったといわれています。築城は8年にわたる大事業で、旭川の流れを城の守りに活かしながら、城下町が整えられていきました。
関ヶ原の戦いのあとには小早川秀秋が入城し、その後は池田氏の時代へと移ります。江戸時代を通じて城と城下町はさらに整備され、岡山藩の政治・文化の中心として発展していきました。今の岡山市中心部の骨格は、この時代につくられたものです。
戦災による焼失と再建、令和の大改修
戦前は国宝に指定されていた天守でしたが、昭和20年(1945)の空襲で焼失します。現在の天守は、昭和41年(1966)に鉄筋コンクリート造で再建されたものです。その後、令和の大改修を経て、令和4年(2022)にリニューアルオープンしました。天守内では、岡山城の歴史や歴代の城主、城下町の成り立ちなどを展示で学べます。戦国から江戸、そして現代へと続く歩みを知っておくと、城を眺める時間の味わいも変わってきます。
岡山城の特徴と見どころ
黒い外観から「烏城」と呼ばれる天守
岡山城の一番の特徴は、黒い下見板張りの外観です。この漆黒の姿から「烏城」と呼ばれてきました。白漆喰の城とは違う、引き締まった佇まい。旭川の水面や後楽園の緑と並ぶことで、岡山城らしい景観をつくっています。黒一色というわけではなく、金の鯱や金箔瓦もあしらわれ、豊臣政権期の華やかさものぞかせます。重厚さときらびやかさが同居した城です。
不等辺五角形の天守台と石垣
岡山城の天守台は、真上から見ると不等辺五角形という珍しい平面をしています。地形や石垣に合わせて築かれた結果で、全国的にも例が少ないかたちです。石垣にも城主が変わるたびの積み方の違いが残り、宇喜多氏の時代、小早川氏の時代、池田氏の時代と、時代ごとの手が読み取れます。天守だけでなく足元の石垣にも目を向けると、城の成り立ちが立体的に見えてきます。

月見櫓と西之丸西手櫓
再建された天守のほかに、戦災を免れて現存する建物もあります。代表が、国の重要文化財に指定されている月見櫓です。池田忠雄が城主だった1620年代に建てられた、本丸に現存する唯一の建物とされます。城外側から見ると防御のための堅さがあり、城内側は月見や小宴のための開けた造り。優雅な名前とは裏腹に、軍事の機能もそなえた建物でした。
もう一棟、路面電車「城下」電停にほど近い西之丸西手櫓も国の重要文化財です。慶長8年(1603)頃の建築と伝わります。天守だけで引き返さず、この二棟にも足を延ばすと、城の歴史がより奥行きをもって感じられます。
岡山城の楽しみ方
天守から眺める旭川と岡山後楽園
天守の上からは、岡山市街や旭川、対岸に広がる岡山後楽園を見渡せます。城と庭園が川を挟んで向かい合う眺めは、ほかの城ではなかなか見られません。後楽園とあわせて歩けば、城を外から眺める時間と、庭園から城を望む時間の両方を味わえます。
岡山城天守内の展示
天守内では、宇喜多氏や池田氏の歴史、城の成り立ち、城下町の発展などを展示で学べます。令和の大改修で展示も整えられ、歴史にくわしくない方でも流れを追いやすい構成になりました。外観を楽しんだあとに内部を見学すると、この城がどう築かれ、どう地域の中心になっていったのかがつかめます。1階には備前焼の工房もあり、土ひねり体験ができます。
夜のライトアップと季節のイベント
夜になると、岡山城は毎日ライトアップされます。日没から24時ごろまで、通常は白い光で照らされ、昼とは違う静かな表情を見せます。光を受けた黒い天守は写真映えもよく、旭川の水面に映る姿を狙う人もいます。さらに春・夏・秋には「烏城灯源郷」が開催され、天守前広場に和傘の灯りが並ぶなど、通常のライトアップとはひと味違う夜が楽しめます。開催日程は年によって変わるので、訪問前に岡山城公式サイトや岡山観光WEBで確認しておくと確実です。

岡山城の開館時間・入場料
開館時間と休館日
岡山城天守の開館時間は、9:00から17:30まで(最終入場は17:00)です。休館日は年末の12月29日から31日で、荒天や点検により臨時休館となる場合があります。烏城灯源郷などのイベント期間中は、開館時間が夜まで延長されることもあります。時期による変更があるため、訪問前に公式サイトで確認しておくと安心です。
入場料と後楽園との共通券
入場料は、2026年4月1日の改定により、大人500円、中学生以下は無料です。未就学児はもともと無料で、市内在住の65歳以上の方や障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は入場料が免除されます。岡山後楽園とセットで回るなら、後楽園入園券と岡山城天守入場券がセットになった共通券(大人800円)が便利です。林原美術館を加えた共通券(大人1,280円)、夢二郷土美術館を加えた共通券(大人1,440円)もあります。団体料金や各種割引もあるため、該当する場合は事前に公式サイトで確認してください。
※開館時間・料金・休館日・共通券の内容は変更される場合があります。訪問前に必ず岡山城公式サイト、岡山後楽園公式サイトで最新情報をご確認ください。
車椅子・ベビーカーでの見学(バリアフリー情報)
天守閣の内部には、地階から4階までエレベーターがあり、車椅子でも展示を見学できます。5階と6階へは階段のみとなります。ただし、烏城公園から天守閣の入口(天守台の石垣部分)までは石段が続くため、車椅子を押したままでは登れません。同行の方が持ち上げれば通行は可能とされています。天守閣には貸出用の車椅子が1台あり、予約もできます。おむつ交換台をそなえた多目的トイレは、天守閣の地階にあります。
石段を上るのが難しい方のために、月見櫓や天守内展示、天守からの眺望などを見られる写真を用意し、烏城公園内まで持参してもらえる対応もあります。当日の介助や車椅子の予約については、事前に岡山城管理事務所(086-225-2096)へ相談しておくとスムーズです。
岡山城へのアクセス
電車・路面電車でのアクセス
最寄りの主要駅はJR岡山駅です。岡山駅からは路面電車が便利で、岡山電気軌道の東山行きに乗り「城下(しろした)」電停で下車、そこから徒歩約10分で岡山城に着きます。岡山駅から歩いても向かえますが、はじめての場合や暑い時期、荷物が多いときは、路面電車やバスの利用がおすすめです。
バスでのアクセス
バスの場合は、岡山駅から岡電バスなどに乗り「県庁前」バス停で下車、徒歩約5分です。後楽園側から回るなら、藤原団地行きのバスで「後楽園前」バス停まで行き、そこから徒歩約5分というルートもあります。目的地に応じて最寄りのバス停を選ぶとよいでしょう。市内中心部の移動は、路面電車とバスを組み合わせると小回りが利きます。運行時刻や乗り場は変わることがあるため、訪問前に各交通機関の公式情報を確認してください。
車・飛行機でのアクセスと駐車場
車では、山陽自動車道の岡山ICから岡山市街地方面へ約20分です。岡山城天守閣に専用駐車場はなく、隣接する烏城公園駐車場や周辺の有料駐車場を利用します。烏城公園駐車場は普通車が最初の1時間300円、以降30分ごとに100円で、最大料金は平日800円・土日祝1,000円が目安です。天守閣に入場して受付で駐車券を提示すると、駐車料金が150円割引になります。休日やイベント時は混みやすいので、時間に余裕をもって動くと安心です。
飛行機の場合は、岡山桃太郎空港から岡山駅方面へのリムジンバスを利用し、岡山駅で路面電車やバスに乗り継ぐのが一般的な流れです。
所要時間の目安
天守の見学は、じっくり見て50〜60分ほどが目安です。岡山後楽園とあわせて回る場合は、移動を含めて1時間半から2時間ほどをみておくと、あわてずに楽しめます。周辺の美術館やまち歩きも入れるなら、半日から一日かけるプランがちょうどよいでしょう。
岡山城周辺の観光スポット
岡山後楽園
あわせて訪れたい代表格が岡山後楽園です。岡山藩主・池田綱政の時代に造営が始まった庭園で、国の特別名勝に指定され、日本三名園の一つに数えられます。広い芝生、池、茶屋、築山などが配され、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の落ち着いた景色と、季節ごとに表情を変えます。岡山城を借景にした眺めも美しく、城と庭園を続けて歩くと、岡山らしい景観をまるごと味わえます。
岡山県立美術館・林原美術館
城の周辺には文化施設も点在します。岡山県立美術館では、岡山ゆかりの作品や企画展を楽しめます。城や後楽園の散策とあわせて、岡山の文化に触れたい方に向いています。城に近い林原美術館は、池田家から受け継いだ刀剣や能面、書画などの所蔵で知られ、国宝の日本刀も見られます。城の歴史に興味がわいたら、足を延ばす価値があります。
表町商店街と岡山市中心部のまち歩き
少し足を延ばせば、表町商店街や中心部のまち歩きも楽しめます。飲食店やカフェ、土産物店が並び、観光の合間の休憩にも便利です。城と後楽園で歴史と自然を味わったあと、中心部で食事や買い物へ。城下町の名残を思い描きながら歩くと、岡山のまちがぐっと身近になります。
岡山城を旅の記念に
岡山を訪ねた記憶を、旅のあとも手元に残したい方へ。『文字のお城のしおり「岡山城」』は、「お城がフォントごと飛び出した!?」というコンセプトの一枚です。黒い天守の佇まいや、後楽園から眺めた景色を思い出しながら、本のページにそっと挟んでおけます。読書のしるしとしてはもちろん、旅の記念や、お城好きの方への贈り物にもどうぞ。
あわせて贈りたい
別名「烏城」にちなんで、カラスをモチーフに加えた新バージョン『文字のお城のしおり 零-ZERO-「岡山城。」』もあります。定番の一枚とはひと味違う仕上がりなので、コレクションや贈り分けにもおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q. 岡山城の入場料はいくらですか?
2026年4月1日の改定により、大人500円、中学生以下は無料です。市内在住の65歳以上の方や障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は免除されます。岡山後楽園とのセット共通券は大人800円です。料金は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトでご確認ください。
Q. 岡山城の開館時間と休館日を教えてください。
開館は9:00から17:30まで(最終入場17:00)です。休館日は12月29日から31日で、荒天や点検で臨時休館となる場合があります。イベント期間は夜まで延長されることもあります。
Q. 車椅子でも岡山城を見学できますか?
天守閣内は地階から4階までエレベーターがあり、車椅子で展示を見学できます(5・6階は階段のみ)。ただし烏城公園から天守閣入口までは石段が続き、車椅子を押しては登れません。貸出用車椅子(1台・予約可)や、天守閣地階の多目的トイレも用意されています。当日の介助は事前に岡山城管理事務所(086-225-2096)へご相談ください。
Q. 岡山城に駐車場はありますか?
天守閣専用の駐車場はなく、隣接する烏城公園駐車場や周辺の有料駐車場を利用します。烏城公園駐車場は普通車が最初の1時間300円、以降30分ごとに100円です。天守閣に入場して受付で駐車券を提示すると、駐車料金が150円割引になります。休日やイベント時は混雑しやすいため、時間に余裕をもってお越しください。
Q. 岡山駅から岡山城への行き方は?
JR岡山駅から路面電車の東山行きに乗り「城下」電停で下車、徒歩約10分です。バスの場合は「県庁前」バス停で下車、徒歩約5分。後楽園側からは「後楽園前」バス停で下車、徒歩約5分です。岡山駅から徒歩でも向かえますが、路面電車やバスが便利です。
まとめ
黒い天守「烏城」で知られる岡山城は、宇喜多秀家が本格的に築き、小早川氏・池田氏へと受け継がれた岡山のシンボルです。不等辺五角形の天守台、時代ごとの石垣、現存する月見櫓と西之丸西手櫓。見どころは天守の外観だけにとどまりません。旭川を挟んで後楽園と向かい合う立地も、この城ならではです。岡山駅からのアクセスもよく、後楽園や美術館、商店街と組み合わせやすいのも魅力。歴史を学びながら景色やまち歩きまで楽しめる城として、岡山を訪れるなら一度は立ち寄りたい場所です。
外部リンク(公式情報)
あわせて読みたい
お城めぐりがお好きな方は、こちらの完全ガイドもどうぞ。


